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今季2009F/Wにて、すでに内外で高い評価を得ているウィメンズのみならず、メンズにおいても抜き出たポテンシャルを見せるサカイ。

やはりこのブランドの性格を決定付けているのは、ニットに特化したファッションブランドだということが大きく、それはメンズコレクションにおいても顕著に現れており、得意とする異素材のコンビネーションでは、ニットのテンションを利用し、伸縮性や重さの異なる素材の組み合わせによって、ユニークなバランスをつくリ上げている。

なによりニットは伸縮性の応用次第で、近年メンズアイテムで多く見られた厳密かつ厳格なパターンの衣服と対照的に、柔軟性のあるサイズ設定や緩やかなシルエットの提案が可能な素材である。おそらくこれを技術として用いるのは女性服の観点であり、これはサカイのメンズコレクションの魅力のひとつとしても挙げられる。当然ながらその立体は個々のユーザーが着用することではじめて完成されるのである。

ファッションに限らず、素材と向き合うことは、モノをつくる上での基本であるが、その密度はクリエイターによって大きく異なり、それが製品のレベルへ直結する場合も多い。
これを踏まえてサカイのコレクションを読むと、阿部 千登勢とニットとの関係性は非常に良好で、クリエイションを行う上での絶対的な基盤が築き上げられていることが理解できる。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato