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フランスのリモランドは、世界中の職人とともに、旅に焦点を当てたコレクションを発表し、優れた品質と快適さに加え、ファッションアイテムとしての楽しさも提案する、というスタンスで活動するファッションブランドである。

モノ作りのパートナーとなる企業は、ご存知、吉田カバンをはじめ、製品を作る上での確かな生産背景を持つ会社のみに絞り込まれている。これによりクオリティの安定が保証されることで、セールスに大きな影響を与える要素のひとつである、表層を整えるスタイリングにおいて、制約から解放されるパートを増やすことがはじめて可能となってくる。ここに並ぶ2点がまさに好例で、質の高いスタンダードなバッグという土台があるからこそ、このカラーリングやファブリックも活きてくるという具合になるわけだ。

仮に「目的に即した製品を開発する」といったゴールがあるとするなら、そのプロセスは、成立さえすれば、そのどれもが正しく、一概に正解はひとつだとは限らない。逆をいえば、どれだけ正攻法であっても、そのアイディアが実現できないのであれば、凡策どころか廃案とならざるえない。

そこでリモランドが突き詰めたアプローチは、いわゆるコラボレーションの意味合いを深化させた内容であり、結果的に手に取るユーザーにとって喜ばしいものであるかどうか、という重要な判断基準があってこそ成立する。これはつまり、理屈やコストパフォーマンスだけでは量り切れない、ファッションの特有の曖昧な性格であり、その魅力とも直結している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato