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鮮烈なデビューコレクションから引き続き、新しいメンズファッションのワードローブの創造を試みる、ジバンシィ バイ リカルド ティッシ。

クチュールメゾンが持つ卓越した技術力と、ストリートファッション特有の感性、という2項を有機的にブレンドさせ、リカルド・ティッシ自身のアイデンディティともいうべき、ラテン・エレガンスというキーワードに即したコレクションを追求している。

表層的な美しさだけでなく、着る人々のパーソナリティと繫がることで本来のあるべき姿を表す衣服の提案は、観る者にメンズファッションの原点を再認識させるアプローチだといえ、それを端的に示しているのが、先シーズンから継続しているショーのキャスティングであり、その余波はこの2009F/Wにて、他のブランドへまで広く浸透している。

今シーズン目新しい点は、ウィメンズのディテールがより多くコレクションに取り入れられたことで、これはここ数年のメンズファッションのトレンドのひとつであったジェンダーレスでフェミニンなテイストとは異なり、男性らしさを引き出すための手法の一環として捉えるのが妥当であろう。

もう一方では、レイヤードのテクニックもさらに加速させ、こちらのベストは、ランウェイで前後を逆に着用することで、ここらしいユーモアを打ち出すことに貢献したキーピースのひとつである。

混迷を極めるメンズプレタポルテの現状に対し、新しいスタイルの創造と真摯に向き合うリカルド ティッシ姿勢は、その点だけでも十分賞讃に値する。その意義ある一歩の先に待ち構えているハードルこそが、時代であり、消費者なのである。彼らをどう味方につけれるかが、確実に次のターニングポイントとなり、ティッシのクリエイションの真価が問われる舞台となることに違いない。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato