Fil'EM Alls
世界でふたつとない優れた素材で紡がれる、
スペシャリティーなワークウエアの境地。
09 6/10 UPDATE
抜きん出たコストパフォーマンスの高さで話題を集める、フィルメランジェがプロデュースするワークウエア、フィルエムオールズ。ヴィンテージウエアを意識しながら、いわゆるリプロダクトとは異なる、新しい時代のニーズに適応したコレクションを披露している。
全アイテム通じて使用される素材は、自社開発のデニムとブラウンダックの2つがあり、このどちらも日本の紡績技術のみが紡ぎ出せる産物で、このブランドの大きなアドバンテージとなっている。
「SUPREME NATURAL DENIM」と名付けられたデニム地は、アメリカ産のナチュラルコットンをベースに、3種類のオーガニックコットンを配合した綿を特別な番手に紡績し、その世界では世界最高峰とうたわれる織物職人によって完成されたという代物。生デニム特有の毛羽立ち感を持ち、軽く肌触りがよく、色落ちと心地やすさを限界まで高めたスペシャルな素材である。
続いて「ORGANIC BROWN DUCK」は、アメリカンワークを象徴するブラウンダックの常識を覆す、これまた特殊な生地である。この茶綿は、染色でなくコットンそのものの色合いで、紡績はカーハートの製品を生産していた事もあるという、国内の帆布屋に依頼している。その結果、打ち込みは強く、しかも触れると柔らかい、なんとも不思議な感触を手にしている。また、撚糸の段階で内側に生成の糸を忍ばせてあるので、摩擦によってデニムのようなタテ落ちをするらしく、これはおそらく世界初の試みだそうだ。
同様にディテールも蘊蓄が満載なのだが、彼らのモノ作りを読む上で重要な点はここだけではない。それは、古きよき時代と現代の衣服の長所をまとめ、どちらにも存在していなかった製品をつくり出している、という点である。かつてのワークウエアが持っていた質を掘り起こし、日本が誇る、最新かつ最高の紡績技術によって、さらなる風合い、または軽さや心地よさを加わえることで、デイリーウエアの新境地を切り開いている。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato