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ジーンズは定番中の定番であるだけでなく、トレンドなど時代性が強く反映さえるファッションアイテムとしての性格を持っている。数年前の過剰な熱気も落ち着き、大きなトレンドのなかで消費されていくというよりも、多様化した消費者のニーズに対応すべく、細分化の方向に進んでいるように見受けられる。強いていえば、ヴィンテージから製作のヒントを得たオーセンティックなスタイルが目に留まるが、価格帯やシルエットの面を踏まえても、これといった正解があるというわけでもないのが実状である。

そうしたなかで、カナダから発信されるネイキッド＆フェイマスは、ユニークな提案力が光る、次世代を象徴するデニムブランドとして台頭した注目株である。日本製の生地の質を活かしながら、仕様によって価格のレンジを設定し、アイテムごとに異なる個性が明確に打ち出せるようにと、こと細かまかな計算をしている。

例えば、このグレーデニムのモデルでは、ラグジュアリーな雰囲気を出すためでなく、着心地を増すことを旨に、デニムにカシミアを混紡させ、生地の柔らかさやテンションを調整している。バックポケットにつけられているフラッシャーの記述は冗談半分なのだろうが、あながちウソでもなく、それに近いレベルの心地よさを実現しているのかもしれない。

このように単なる品質の向上だけでなく、目的や用途に適した素材や技術をしっかりと選択することは、これからの時代のファッションアイテムに求めれる、新しいコストパフォーマンスの基準を示唆している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato