GRIFFIN
イギリスの伝統を継承しながら次へと向かう、
ジェフ・グリフィンのファッションへの視点。
09 5/12 UPDATE
いま世界経済とともにファッションの世界も大きな変革の時期が訪れているが、それはトレンドやスタイルが新しいなにかに移り変わるといったありきたりのレベルの話ではなく、ファッションを取り巻く環境、または構造そのものが変容しつつある、といったことである。それに応じて当然ながら消費者の価値基準も大きな変化の兆しが見られ、商品を提供するブランドやクリエイターにもなにかしらの影響が及んでいる。頑なに自らの信じるスタンスを守り通すところもあれば、時代に適した新しいフォームを模索するものもいたりと、さまざまな模様が窺える。
こうした状況下にあって、イギリスのインディペンディントなファッションブランドの代表格ともいえるグリフィンを主催するジェフ・グリフィンは、確固たる信念を持って、次の時代と向き合おうとする姿勢を見せている。
「最近は素晴らしい工場と付き合いができていて、そのひとつがマッキントッシュだ。そこで製作しているカモフラージュ柄のステンカラーコートは、『ノットコレクト』といった、僕が意図するニュアンスと見事にマッチする。マッキントッシュ社は、ルイ・ヴィトンへ素材を提供していることなどでも有名だが、僕としては伝統を持っている会社だという認識が第一にある。そこにストリートの要素が加わってツイストされたコートをつくることができたりすると、正直にいって自画自賛せざるえない心境になる(笑)。このアイテムは敢えてシェイプは弄っていないことも特徴で、これはクラシックなモノへの僕なりの敬意であって、ここはすごく重要視している。イギリスはビクトリア王朝の時代に、経済の絶頂とともに軍事産業でも世界をリードしていた。そこで行政として軍隊に支給する衣料品へ資金が投入され、結果的にファッションも発展していった、という歴史的な背景がある。僕のコレクションにもこのような文化を継承してるアイテムがいくつも存在している。僕は、ハリスツイードにしても、カモフラージュにしても、オーセンティックなものしか採用しない。その理由は単純明快で、ニセモノを使うことは極力避けたいからだ。16歳からファッションの世界を長年見ているけど、やはり何事もルーツを大切にするように意識している。最近コストダウンが目的で、安易な中国生産にシフトするブランドが多いけれど、僕がそれをやってしまうと、クオリティ以外にも、失うものがあまりにも多すぎる。だから他の企業との企画ではコマーシャルな要素も大事にしているけど、グリフィンは決して大きなブランドではないということもあるし、自分たちのアイディアを出していくということを最優先するプロジェクトだと思っている。となると、日本のトレンドを追っかけていくような方向性では、創作する意味すらなくなってしまうと常日頃考えている。だからこそグリフィンの基軸にある、ミリタリー・メンズの力強さ・イギリスらしさ、というこの3つは、この先も僕がクリエイションを続けていく限り変らない、揺るぎないブランドのファクターだと思っている」
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Shusei Thukahara
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