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デザイナー渡辺真史の感性が隅々まで行き届くベドウィンのコレクションは、東京を中心に各方面で飛躍しはじめている。

その要因のひとつに挙げられるのが、さまざまなメディアで積極的に展開するセールスプロモーションである。これまで雑誌媒体などを中心に、自社カタログ、取り扱い店舗でのプレゼンテーションなどを行ってきたが、この2009年S/Sシーズンでは、新しいチャレンジとして動画の製作に着手した。

このルックビデオは、NYで撮影を行い、ロケーションを含めた主演キャストの日常に、ベドウィンの2009S/Sコレクションと、そのシーズンテーマに即したストーリーを導入する、という手法で製作が行われている。

服を見せるということにおいて、動画と写真との違いのひとつは、数枚の写真では伝えきれない着こなしのニュアンスを細部まで伝えられるという点がある。カメラワークによって、衣服が立体であるということであったり、着ることではじめて本来の用途を満たすというような、当たり前すぎるほど当たり前のことが、動画を鑑賞することで漠然と浮かび上がってくる。このような観点は、普段は認識から外れてしまうこともありがちだが、ファッションを楽しむ上で、もっとも単純かつ重要な事柄のひとつであることに違いはないはずである。

この先、ファッションの世界も大きな変化が訪れ、これまでのルールやフォーマットが崩れる部分も確実に出てくるわけだが、それに応じて次の時代への適応するためのアクションが、なんらかの形で必要となってくる。このような視点からも、彼らベドウィンのフレキシブルな活動は時代性に即しており、この動画も含め、今後もさらに表現の幅を広げ、新しいファッションブランドのスタイルを提案をし続けていくのであろう。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:David Perez Shadi