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いまファッションの世界は、著しい変化の波が見えはじめ、新たな局面を迎えつつある。その兆しのひとつが、ファッションブランドと消費者との間における関係性であり、これまで互いに不鮮明であった部分が露呈しつつあるため、より距離感を縮めた直接的なコミュニケーションの必要性が問われはじめている。

昨年リニューアルオープンを果たしたクロムハーツ トーキョーでは以前から店舗でのプレゼンテーションを精力的かつ頻繁に行っている。今回は近年物議を醸している品質偽装へのアンチテーゼを孕んだ「スーパーマーケット」というテーマを設け、1Fにて4/12までの期間で展示している。

最新コレクションとともに並ぶ、アメリカのスーパーで購入したという数々の備品は、高額商品と絶妙なコントラストを生み出し、さらにはテーマ性に則ってパッケージデザインまで徹底しているため、展示スペースには、ファンタジーとリアリティが同居した、ファッション特有のムードが流れている。

新作はアクセサリー類からアパレルまでとレンジも広く、まさにスーパーマーケットさながらの充実ぶりを見せている。なかでも同社の製品の膝当て用のパッチをモチーフにしたフレアニーシリーズは特別なプレゼンスを醸し出している。さらに名古屋店の1周年記念アイテムとして、このフレアニーモチーフのリックサックが3/27から限定発売される。

クロムハーツのクリエイションの根幹には、常にデザイナーのリチャード・スタークのライフスタイルやユーモアが内在しているため、このような試みを行うことは、彼のアイデンティティやスピリッツを伝達する手段としても、有用かつ効果的なアプローチなのだといえる。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato