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ここ数シーズンひとつのトレンドとして明るい話題を振りまいてきたアメリカンカジュアルは、戦後以降の既成服産業を支え続けてきたアメリカを象徴するファッションであり、カジュアルの基本ともいえ、近代のメンズファッションを体系的に理解する上でも避けては通れない重要な分野である。

そうしたアメリカ服飾文化の系譜を引き継ぐアンユーズトとスティーブンソン オーバーオールの2社が、アイディアを出し合い完成させたのが、このスタッズアイテムである。

深い歴史を持つスタッズの装飾は、現代に適したフォームへと姿を変え、ここ10年ぐらいの期間で日本の市場でも完全に定着している。事実、安易なコピー商品も多いが、その真逆に、優れた品質や独創性を求める優れたクリエイターも同時に存在する。

このスタッズアイテムの芯を支えるのは、スティーブンソン オーバーオールの主催者で、自身のブランドHTCによってスタッズベルトの魅力を世界中に知らしめたジップ スティーブンソンであり、そこに日本人らしいきめ細かな感性を添えたのがアンユーズドのデザインチームである。

ヴィンテージから引用したモチーフをさらに成長・発展させるために、いくつかの要素を加えながらユニークなスタイルのベルトを完成させ、並列に打ち込まれたスタッズのラインと、ブレスレットの湾曲した形状や、無数の留め方を楽しめるバックルとが、ほどよいコントラストを生み、結果的に調和とれたバランスでまとまっている。

このような文化や歴史を継承しようという意志の下でつくられるファッションは、確かな基礎力によって支えられ、いまファッションアイテムに強く求められている、時の変化に耐えうる強度を有している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato