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LAは世界有数のセレクトショップが立ち並ぶファッションのメッカであるが、数年前のデニムブームの沈静化やNYのブランドの勢いによって、この数年は停滞しているかのように見受けられた。

だがここにきて以前とはまた違うテイストの新しい世代のインディペンデントなファッションブランドが台頭しはじめ、オーディン ブックはその傾向を端的にあらわす注目のブランドである。

デザイナーのオースティンは若干22歳で、13歳の頃からすでに独学で服をつくりはじめていたという強者だ。キャロル クリスチャン ポエルやカルペディエムなどの抜きん出た完成度を誇るブランドを愛用し、さらにスケートカルチャーに関心を持ち、ストリートの着こなしを理解しているという点が極めて異色であり、いわゆるモードの世界のファッションデザイナーとはまったく違う道程からハイファッションのステージへと辿り着いた逸材なのである。

アイテムは全体的に高額だが、それに見合う内容や個性を十分に有している。その実力の一端を革製品の生産工程で述べると、製作の取り掛かりとして、まずオースティン自ら手でパターンを起こし、素材の選定・タンニング・縫製など、ほぼすべてのパートを手作業で行うという、アメリカ人らしからぬ徹底ぶりを見せている。ハンドメイドのパートが生み出す独特の風合いや立体は味わい深く、完成したコレクションは、ファーストコレクションの段階にして、すでに傑作と呼べるようなピースがいくつか仕上がっている。

このオーディン ブックの他にもLAでは次世代のファッションブランドが続々と台頭し、新しい時代のムードが萌芽しつつある。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato