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ボブ&グラハムとは、ユナイテッドアローズが2003年から継続して展開している、世界的に有名な古着のディーラーであるボブ メレットとグラハム キャシーによって選び抜かれた貴重なヴィンテージクロージングで構成するコレクションである。2009S/S ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ ウィメンズは『Amish』というテーマを、メンズは『Dust Bowl』というテーマを設けスタイル提案を行っている。昨年先行して行われたプレゼンテーションの話題を中心に、彼らにプロジェクトの詳細について諸々語ってもらった。

今回のプレゼンテーションや2009年S/Sのバイイングについて教えてください。

「この企画で私たちは商品が並ぶユナイテッドアローズの3店舗ごとに別々の内容で買い付けを行っています。ビューティー&ユース ユナイテッドアローズ ウィメンズは1930～50年代頃のアーミシュなライフスタイル。次にメンズでは1930年代のアメリカ大恐慌時代を力強く生き抜いた労働階級の人々のイメージ。最後にユナイテッドアローズ メンズは1960年代後半の英国貴族やロックスターのパラダイスドリームというテーマを設けています」

毎回ボブ&グラハムの企画はどのように進行しているのでしょうか？

「毎回アローズと打ち合わせをしながらテーマを設定して、約半年かけて世界中から選りすぐりの商品を集めています。ファッションに固執することなくライフスタイルの要素も含めて、トータルのバランスを踏まえた内容を心掛けています」

ファッションもしくはスタイルを提案する上でインスパイアされることを教えてください。

「私たちが頻繁に買い付けに行く、ニューヨークやロンドンはもちろん、世界中の映画や音楽、ファッションや芸術、旅から友人や家族と、あらゆることから影響を受けています」

現在ファッションのマーケットはさまざまなジャンルのアイテムが並んでいますが、この先ヴィンテージクロジングはどのようなポジションを担っていくと思いますか？

「ファッションの世界もグローバリゼーションやハイテク化が進んでいますが、その一方で先端にいる多くの人々が、オリジナルであったりアナログ的な製品に安らぎを感じていると思うのです。そうした傾向からもヴェンテージは今後より一層重要な存在として重宝され、ライフスタイルの一翼を担うと思っています」

お二人が考えるヴィンテージクロージングの魅力とは？

「ヴィンテージは、ただ過去を振り返るための道具ではなく、現代では生産不可能な品質であったり、時間の経過とともに風化した風合いを手に入れることができる、特別なアイテムだと思っています。これらを今の時代に服とコーディネイトすると、とても個性的でなおかつ新鮮なスタイルを打ち出せるのではないでしょうか」

世界中の有名ブランドやデザイナーを顧客に持つ彼らとユナイテッドアローズによる提案は、過去と現在を繋ぐ架け橋のような役割を果たし、ヴィンテージクロジーングの希少性や付加価値の側面に依存しすぎない新しい時代のコミュニケーションによって、店頭での商品構成や消費者の感度の幅を広げると同時に、ファッションにおけるルーツや奥行きの重要性を示唆している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato