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ファッション史に燦然と輝く巨星ユベール・ド・ジバンシィの系譜を引き継ぎ、モードシーンの期待を一身に背負う気鋭リカルド・ティッシ。

イギリスのセントマーチン美術大学を優秀な成績で卒業したのち、彼の母国イタリアで複数の有名ブランドを渡り経験を積み重ね、2005年3月、ジバンシィのオートクチュールとウィメンズのプレタポルテのクリエイティブディレクターに就任。デビューコレクションから高い評価を受け、いまやモードの世界におけるメゾンの新しいポジションを獲得している。そして2008年3月にメンズプレタポルテのクリエイティブディレクターにも任命され、実質的にメゾンのクリエイション全般を指揮する運びとなった。

満を持して披露した2009S/Sコレクションは、リカルドのイタリア人としてルーツを基盤に置きながら、彼が関心を持つ多彩なファクターを複合することで、結果として新鮮なスタイルを打ち出し、ユニークな製品をつくり出している。

その構成要素は表層以上に複雑であるが、他社と比較した際に明確な特色として挙げられるのは、こちらの2点に見られる、スポーツアイテムのディテールや、ストリートカルチャーにインフレンスされたグラフィックなどであり、これらが絶妙なスパイスとなって、コレクションを特別なものにしている。

パリ固有のファッションの文脈を意識しながらも、自らが信じるエレメントをミックスさせオリジナリティを高めるリカルド・ティッシの創造は、ヴィジュアルのマスキュリンさよりも力強い、揺るぎないタフネスな精神性を宿している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato