SIDE SLOPE
世界のマーケットを視野に入れる、
日本人デザイナーによるニットウエア。
08 11/11 UPDATE
いまやありとあらゆるものが混在するメンズファッションシーン。もはやルールは曖昧な方向へ進み、これまでの方程式も一概には通用しなくなりつつある。こうした状況下であるからこそ、無駄なものは淘汰され、新しい答えが創出される可能性も大いにある。
サイド スロープは、大手アパレルメーカーでキャリアを積んだワキサカが立ち上げた、ニット専門のファッションブランドである。日本を拠点のベースとし、イタリア・ミラノのショールームから発信するという、世界のファッションマーケットを視野に入れた活動を行っている。すでに一流のバイヤーに実力が認められ、いくつかの世界レベルのアイコンショップで取り扱われている。そのモノ作りはというと、自社工場との密なリレーションシップによって、ニットウエアのリラックス感を活かし、凝りにこった仕様などで、大量生産では味わえないパフォーマンスを打ち出している。
たとえば、この2点を例に挙げると、まずショートダッフル風のニットブルゾンは、見た目以上に軽量で、裏地にサーモフェイスという機能素材を使うことで、防風・蓄熱・保温性を高め、真冬でもアウターとして着れる実用性を得ている。一方グラデーションのカーディガンは、一見すると製品のムラ染めに見えるが、7色の糸をうまく使って編まれており、特殊な技術力が際立っている。毛足の長いモヘアという点もムード作りに一役買っているといえる。
ジーンズなどの実質的にアイディアが出尽くされた分野と比べると、ニットウエアは新たな展望も期待でき、日本人の感性やモノ作りとフィットしやすいアイテムであることも最後に付け加えておきたい。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato
ブルゾン 82,950円[税込]
カーディガン 61,950円[税込]