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1980～90年代にかけて台頭した有力なファッションブランドは、多くの時間とともに独自のポジションを獲得し、数多の競合ブランドを出し抜くムードを創り上げている。

クロムハーツもこれに該当する、希有な存在のブランドであり、この新作のサーフパンツからも、そのポテンシャルの断片が読み取れる。

第一に挙げられるのは、実用と装飾のバランスを考慮したモノ作りである。それは主に細部の仕様に見られ、ワックスなどを入れるために取り付けられたブラックのダガーのファスナーや、所々に配置されたレザーパッチやシルバーのパーツなどが該当する。

第二の特色は、製品のリリースのタイミングにある。仮にサーフィンが通年行えるスポーツだということを差し引いたとしても、サーフパンツを、この時期にこれほどの高額で販売できるということ自体が、従来のファッションブランドでは非現実的で、冷静に考えれば考えるほど、懐の深さと余裕が感じられる。

第三は、徹底した作りでありながら、内にあるのは遊びであって、シリアスな精神性をうたうブランドでは到達できない、さらに先の世界に、彼ら固有の審美眼が置かれているということだ。

総括すると、現在のクロムハーツは、いわゆるファッションブランドの立ち位置を超えたポジションを勝ち取っている。これは知名度や人気ぶりからも一目瞭然であろう。その確立された世界のすべては、一部の側面だけでは量りきれないほど深淵で、日々スケールを拡張し続けている。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato