LUMEN ET UMBRA BY ISSEY FUJITA
対立的なファクターを結合することで、
退廃的な美のコンストラストを創出する衣服。
08 10/14 UPDATE
ラテン語で光と影を意味するブランドネームのように、 ルーメン エト アンブラ バイ イッセイ フジタは、対照的なファクターを結合することで、マスタープランのさらに先にあるゴールを探求するデザイナーである。
このジャケットの場合、テント資材のようなヘビーなキャンバス地と端正な造形をつくり出すテーラリングと、従来のファッションのセオリーと距離を置いたアプローチを用いることによって、トレンドから回避することと、オリジナリティの創出を同時に行うことで、デザイナー自らの理想とするワードローブに近づけている。
いわゆるキャットウォークでの発表を行わないファッションブランドかつ、モードやプレタポルテと呼ばれるカテゴリーで勝負するブランドは、セールスとプロモーションともに鍵を握るのが、まず間違いなく製品力である。それは、品質や服飾の造詣やアイディアなどといった類いの話だけではなく、自己をなんらかの形で製品に投影できるかという才能も必然的に問われてくる。
海外での活動が長いフジタ イッセイは、そうした創造への理解度が高いように見受けられ、自ら常識やルールに縛られてしまい一定のエリアで甘んじているクリエイターらの数歩先を歩んでいる。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato