honeyee.com ｜Web Magazine「ハニカム」

いまやレザーウエアやジュエリーのみならず、デザイナーであるリチャード・スタークの成長とともにコレクションを拡大し続けるクロムハーツの世界。

アパレルの新機軸として、この秋からスタートするのが、LUXシリーズだ。一貫性を持った少数精鋭のニットウエアが出揃っているなかで、この2点に話を絞って具体的な傾向を述べる。

タイトなリブ編みのセーターは、両脇から裾に垂直に取り付けられたダガーモチーフのファスナーが、着脱における利便性と、ブランドの象徴性や主張を高めている。一方ローゲージのガウンは、カシミア混紡のウールで編まれ、左下にフロントに縫い付けられたレザーとシルバーによるクロスは、単にデコレーションだけが目的ではなく、右下の内側にある装飾箇所と対になることで、着用時にベストの立体を形成するための補助的な機能も果たしている。

シリーズすべてに通じるのは、実用面を考慮した上で装飾を施し、それぞれが独自性の強いシルエットでまとめているということにある。なににも勝るエッセンスとして、既存のラグジュアリーブランドではまずありえない、オルタナティブな精神性が織り込まれていることも忘れてはならない。

このように、もはやファッションにおけるラグジュアリーの定義は千差万別であり、ブランドとユーザー間での密度の高いリレーションシップでこそ成立する時代へと移り変わっている。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato