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ピエール アルディは、パリを拠点に、シューズやバッグなどのアクセサリーの分野で、洗練された印象と安定したクオリティを供給し続ける気鋭のデザイナーである。クリスチャン・ディオール、エルメス、バレンシアガなどなど、そうそうたるメゾンでキャリアを積み重ね続けていることも有名なエピソードである。

この秋ついに発表される、ブランド史上初の試みとなるメンズバッグにおいても、その真価を十分に発揮している。CITYとSPORTSの2型が用意され、ブラックとブラウンの2色が展開で、国内では伊勢丹新宿店のみの限定発売となる。

そのルックスは、過剰な装飾を一切省き、ただひとつのアクセントとして取り入れたパイピングは、より形状の美しさを際立たせ、見事な効果を生み出している。ライニングはすべてレザー仕様で、内側のポケットにはカードケースを装備するなど、よい意味で簡易的かつ実用的なスペックを備えている。

やはりこの手の高額品は、表層的な魅力だけだと、どこか物足りなく不安が残るが、こちらのバッグは、その点においても期待を裏切らない内容で、消費者のニーズという及第点をクリアしている。

歴史と伝統で成り立つパリという街の固有のエレガンスをモダンに表現するピエール アルディのセンスは、これまで以上のエスプリをみせ、我々に次なる躍進を予感させる力を宿している。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato