ALDEN
伝統の強みと時代のムードを宿した、ミリタリーラストを起用した最新モデル。
08 8/01 UPDATE
いくつかの大きな起因から、ここ数シーズンにわたって、世界的なブームを巻き起こしている、オールデンのシューズ。
近年、輸出に耐えきれないレベルのコストパフォーマンスの製品が市場に無数に並んでいるが、彼らはそれらに該当しない例外的なポジションに立ち、いついかなる時も消費者の期待を裏切らない、丹念な仕事を行っている。
それを可能としているのが、同社が守り続ける、1884年の創業という歴史と、4代にわたる同族での経営、綿々と受け継がれる技術やノウハウであろう。
がしかし、いくら外観や品質に長けていようとも、移ろいやすいファッションの時間軸では、ある時を境にそれまで隆盛をきわめていた存在が消え去ってしまうことも日常茶飯事ある。むしろ現実的にタイムレスに活躍できるアイテムの方が少なく、この時世であればなおさらであり、いまや定番という言葉ですらそうそう通用しなくなっている。
では、クリエイターや企業がそれを打破する方法のひとつを述べると、それは単純明快で、自らがやるべきことを完璧にやりこなし、行き着くべき場所へ到達することにある。仮に、この過程を乗り越えることができるのであれば、おそらく作り手が求めるすべてが手に入る。ただしその道程は果てしなく険しく、選ばれた者だけが辿り着ける領域でもある。
この2足のブーツは、オールデン社が築き上げた4種類の木型のひとつである、ミリタリーラストや、最上のレディカーフを効果的に使い、伝統に基づく製法でまとめ、実用性だけでなく、時代に求められるムードも満たしている。そのため、懐古的なアメリカらしい着こなしだけでなく、その細みのラストを活かした、新しい時代のコーディネイトとも対応可能である。
このように、2008年現在のオールデンは、自身が属するジャンルの壁を飛び越える強度を宿し、トラディショナルシューズの枠組を超えた活躍を繰り広げている。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato