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2008A/Wシーズンのラフ・シモンズは、とにもかくにもアグレッシブでパワフルだ。2008S/Sのランウェイでの共作きっかけに、今季も継続するコラボレートライン、ラフ・シモンズ イーストパックでも、その多才ぶりを発揮している。

イーストパックは、1976年に創業したブランドで、リーズナブルな価格で、シンプルかつ高い品質を追求したプロダクツを提供し続けている。また同社は、画期的な製品の開発であったり、世界中のアーティストやアスリートをサポートすることでも知られている。一方シモンズも、その創作はいかなる時もチャレンジ精神に溢れており、才能豊かな幾人かのクリエイターの支援をしていたりと、このように両社の間には、プロダクションにおけるパートナーシップだけではない、いくつかの共通点が挙げられる。

最新作では、ラフらしいユースカルチャーからインスパイアされたグラフィックや、全体を包むデカダンスな雰囲気と、イーストパックの持ち味である実用性とリアリティが、バランスよくまとまっている。

これだけ多くのトップデザイナーが活躍するなかで、ラフ・シモンズが孤高のデザイナーとみなされる最大の理由は、その精神性の高さにある。

製品に細心の注意を払いつつも、彼の関心は、服作りそのものにはなく、衣服を媒体としながら自身のメッセージを伝えることに、クリエイションの本質を置いている。

それによって、引用されたパンクやモッズなどのユースムーブメントは、単なるリバイバルではなく、新しい時代の言語となってトランスレーションされていくのである。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato