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このなんとも不思議なシューズは、イタリアのフィレンツェを拠点にするグイディによる新作である。

同社は、並外れたタンニングのテクニックを持ち、その実力は折り紙付きで、多くの世界的なファッションデザイナーに実力を認知させているという。彼らは、生産の工程をすべてを理解した上で、新しい生産プロセスを探求していることでも知られ、通常ではフィニッシングとして行われるパートを起点に製作をスタートさせるなど、実験的な行為を繰り返し、そこから偶然の産物とも呼べる要素を掘り起こすなど、ラジカルな創造を行っている。

ここで話を本題に戻し、こちらの一足について具体的な特徴を述べると、まず目に留まるこの独特の形状は一枚革ならではのものであり、ベースとなるブーツのつま先をカットすることで、サンダルのように素足で履ける機能を備えている。これは当然ながら、柔らかくも耐久性のある素材なくしては作れない産物である。

決してマスな規模ではないが、このように水面下では、優れたクリエイターらが次の時代に向けて、日々研鑽を重ねている。ここで積み上げられた技術力が表舞台に出る時こそ、既成概念やルールが打破され、ファッションの創作をネクストレベルまで引き上げ、シーンを活性化させるのである。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato