ROBERT GELLER
ファッションシーンをやさしく包む、2つのファクターが織りなすコレクション。
08 5/08 UPDATE
マーク ジェイコブスでのインターン後、クロークを立ち上げ、2007年A/Wに、自身の名を冠したメンズコレクションのデビューを飾った新鋭ロバート ゲラー。
2008年S/Sでは、ドイツを代表する現代美術家ヨーゼフ ボイスと、カリフォルニアのスケートカルチャーにインフレンスされたプレゼンテーションを披露した。これはハンブルグ出身で現在はアメリカを拠点に活躍する彼らしいアプローチなのかもしれない。
ボイスといえば、『社会彫刻』という概念を定立し、このテーゼを芸術表現によって、様々な分野へ絶大な影響を与えたことで知られている。それこそアメリカとの大きな接点といえば、1974年にNYで行われたパフォーマンスアート、『コヨーテ-私はアメリカが好き、アメリカも私が好き』がある。
他者的でもあり、共存的でもあるという、相互関係を際立たせた、このパフォーマンスと同様に、今回のS/Sコレクションは、ドイツ(=ヨーゼフ ボイス)とアメリカ(=西海岸のスケートカルチャー)という2つファクターが共存して成り立つものである。
ボイスが好んで愛用していたハットやスーツのイメージと、初期のスケートスタイルを彷彿させるトップスのボリュームまたは細身のシルエットのパンツが、所々でミックスアップされ、モダンなスタイルを作り上げている。
このなかで、シャツのポジションはというと、その時々で必要とされるカラーやディテールを身に着け、ルックのアクセントとして効果的な役割を果たすアイテムとなっている。
かつてボイスがアートの力で社会を温めようと試みたように、ロバート ゲラーは混沌としたメンズファッションシーンに熱を加えられるのだろうか。この課題をクリアできた者こそが、アメリカはおろか、次世代のファッションシーンのリーダーとなりうるのであろう。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato
シャツ 22,050円 [税込]
シャツ 24,150円 [税込]
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