DRIES VAN NOTEN
今シーズンのトレンドを効果的に取り入れた、モードから生まれたスポーツアイテムの真価。
08 5/07 UPDATE
2008S/Sシーズンも終盤戦に差しかかり、今季も無数に掲げられたファッションデザイナーによる提案の真価が問われはじめている。
街頭や店舗を見渡せば、マーケットでの評価とエリアは限定はされるものの、トラッドは本当に支持を受けているのか、果たしてヨーロッパのモードは健在なのか、東京や海外にインフレンスされた新規のドメスティックブランドは順調にデビューを飾れているのか、などといったことが自然と視野に入りはじめていく。
かつてはアントワープシックスと呼ばれ、長くモードシーンで活躍するドリス ヴァン ノッテンは、2008S/Sのトレンドをもっともうまく取り入れたブランドのひとつに挙げられる。
やわらかな素材や色彩、フュチャーリスティックを意識したナイロンやサテン地、ほどよく加えられたトラッドやスポーツの要素など、コレクション全体にベテランならではのうまさが光っている。まさにトレンドの総観図という有様は、テイストやベクトルこそ若干異なるが、モードシーンの牽引するランバンに近いレンジの幅を見せている。
こちらの2点はまさにそれらに該当するアイテムで、ここらしいゆったりとしたフィッティングに、上質なリラックス感とモーターサイクルのエッセンスを取り入れている。生地のセレクトに定評のあるドリス ヴァン ノッテンの真骨頂がさりげなく表させた傑作なのだといえる。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato