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知る人ぞ知るメンズ最高峰のプレタポルテとして、または異端の天才デザイナーとして、その名を世界に轟かせているキャロル クリスチャン ポエル。

幼少の頃から慣れ親しんでいるテーラリングは、熟練という域を飛び越え、常識を逸脱したレベルにまで到達し、目的に適した素材を自由自在に扱う様は、多くのファッションデザイナーに絶大な影響と衝撃を与え、畏敬の念すら抱かせている。

そのコレクションは、従来のランウェイショーの行うブランドと比べると、極少数だといわざるえいないが、日々の探求と研鑽の証となる単体のピースごとのパワーは、他を寄せつけない境地へとたどり着ている。

その進化は時間とともに加速し続け、2008S/Sでもその実力をいかんなく発揮している。ポエルは特に硬質な素材で優れたクリエイションを打ち出す場合が多く、これによって構築された立体は、特異な形状と個性を纏って姿を表す。新たなマスターピースとして登場した通称ツインバックルと呼ばれるベルトひとつをとっても、凡人は到底思い浮かばない斬新なアイディアであり、ディテールなのである。

仮にプレタポルテの100点というものがあるとすれば、彼の創作はそれを遥かに凌駕する完成度を誇る。がしかし、そのすさまじい才能ゆえに、理解者や支持者が限られることもまた事実であり、さらに難解なアイテムらは、誰もが似合うようなやさしいものではないが、着こなすことさえできれば100%以上のパフォーマンスを発揮してくれるという側面を持ち合わせている。

まさに孤高の存在であるキャロル クリスチャン ポエルは、多くを語らずともその圧倒的なオリジナリティを提示し続けている。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato