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ウールリッチ ウーレン ミルズは、アメリカ最古のアウトドアブランドとして名高く、その歴史は、アメリカの衣料産業の歴史の一部である、といっても決して過言ではない。

1830年の創業から長い月日を経て、時は現代へとなり、イタリアのファッション界をリードするWPラボリ社が、アメリカ生産とアメリカンスポーツウエアの伝統を再発見するといった意図から協力を開始。その後、2006年から、ネペンテスUSAの鈴木大器をディレクターに向かえ、新プロジェクトが始動。その活動は今もなお健在どころか、さらなる成長を目指している。

ディレクターの鈴木は、アメリカンウエアの深部に触れるべく、以前から本場に拠点を構えている。それによる徹底的なリサーチと服作りへの真摯な姿勢によって完成されたスタイルは、結果的に新しい衣服の提示となって、いまや世界的に認知され、テイストやベクトルこそ違うが、ヨーロッパを中心としたプレタポルテと比べてもまったく遜色のないレベルに到達している。

こちらに並ぶ2008S/Sのコレクションひとつとっても、全体のバランスを計算し尽くしているため、マニアックな素材やディテールが過剰になることなく完璧に配置される、すばらしい仕上がりとなっている。

アメリカの文化と向き合い研鑽に次ぐ研鑽によって磨き上げられた氏の技量は、本家ウールリッチをも唸らせるどころか、新たなる進化への原動力となって、世界へと羽ばたいている。これに続く日本人クリエイターの登場にぜひとも期待したい。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato