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アレキサンダー マックィーンといえば、エキセントリックな気質や挑発的なアクションがいつとなく論争を巻き起こしている反面、サビルローで学んだテーラリングであったりと、揺るぎないファッションデザイナーとしての実力を備える、自他ともに認めるモード界の寵児である。2008S/Sコレクションでは、シーズンテーマに即し、いつにも増してカジュアルなアイテムが多く並んでいる。

マックィーンの感性は、ファッション外のジャンルでも話題を集めるほど特出したものがあり、グラフィックデザインにおいてもその個性をいかんなく発揮している。スカルのような普遍的なシンボルの使い方ひとつにしても、ペイズリー風のパターンにカットインしたり、トロンプルイユの手法を引用するなど、決して一筋縄で終わることはない。この春の注目アイテムであるクラシカルな装いのショートパンツも、レングスや素材などで彼なりのアレンジを加えている。

このクラスのデザイナーのクリエイションを受け入れるには、こちらもそれ相応の受け皿を必要とする場合があり、さらには蘊蓄がどうといった物差しで計るよりも肩の力を抜いてフィーリングで楽しむ方が、自分らしさとデザイナーの意匠との間をとったバランスのよい着こなしにたどり着ける可能性も高まるはずだ。

Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato