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マルタン・マルジェラこそは、ファッションの世界におけるディスコンストラクション（＝脱構築）を体現する第一人者であり、その極点ともいえるのがアーティザナルコレクションである。

この創造的な試みは、1988年の創業から続けられ、既存の服や布地やオブジェなどに、なんらかの形で手作業のプロセスを加え、新しい服やアクセサリーにトランスフォームさせ、新たな視点とフォルムを与えるという意図の基で制作が行われている。2005年の秋冬からは、メゾン内における独立したポジションが与えられ、現在はパリ・オートクチュール協会の正式な招待を受け、毎シーズン開催期間中に発表を行っている。

この希有なコレクションを過去の作品も含め展示する「⓪　手仕事により、フォルムをつくり直した女性と男性のための服」展が、表参道のeye of GYREにて、4月24日から開催され、一部の展示品は購入も可能とのことだ。

今現在ファッションの世界は、単なる品質の向上の枠組でとどまらない、新たな魅力や価値観の創出が必要に迫られているが、かつて時代を切り開いたアーティザナルコレクションの過去と現在を示すことは、同時に未来の可能性を開くという行為にも繫がっている。いうなれば、こうした発見へと導くことこそが、脱構築の有用的な側面であり、性格なのである。

Text:Tsuneyuki Tokano