20代の若者が聴いたら、昔の渋いロックなのかもしれないが、30代が聴けば、学生時代の淡い想い出とともに、センチメンタルな気分を思い起こさせてくれる。そんなバンドがダイナソーjr.だ。ニルヴァーナやソニックユースなどと、グランジ/オルタナといわれるムーブメントの中核を担ってきた存在である。今回発売される8枚目のアルバムは、まさに大復活盤! J・マスキス、ルー・バーロウ、マーフという、オリジナルメンバーが揃ったスタジオ盤は、実に18年ぶりなのだ。
「みんなそれぞれの活動をしていたけど、2005年に再結成したときは、すぐに“3人でやる”フィーリングを取り戻したよ。それで1年くらい前からレコーディングを始めたんだ。すでにオレが持っていた曲を、みんなで練習して自分たちのものにしていきながら、レコーディングしていった。ルーが書いた曲もあるけど、ドラムとかギターのパートを手伝ったり、ダイナソーjr.っぽくアレンジしたりと手伝ったよ」(J・マスキス)
どうやら息はピッタリ。3人の素晴らしい融合によって出来上がったアルバムは、いい意味で変わっていない。頼りなさそうなボーカルも、ヨロヨロとしたギターも、胸の奥を掴まれるようなメロディも。そこに感じるのは、職人的な姿勢だ。
「常に変わっていくところが好きなアーティストもいるし、ずっと変わらないところが好きなアーティストいる。その人たちが良い物を作っているかどうかだと思う。曲作りって、ある種、職人的だよ。曲を書くたびに、より良い物を、と思ってやってるだけで、似たような物かもしれないけれども、それをどんどん磨いてきたい」(J・マスキス)
2007年にブツけてやれ! オレたちのロックとはこれなんだと。そんな昔気質の、大工のようなダイナソーjr.が、今、しびれる。
Text:Tomohiro Okusa