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素人のくせしてマフィアを気取りはじめ、ラスヴェガスを牛耳る老ボスに反逆したマジシャンの“エース”(ジェレミー・ピヴェン)。だがFBIは悪の元凶たる老ボスを潰すべく、内実を知る“エース”の証言を得ようと高層ホテルのペントハウスで保護観察下に置いた。そんな彼の口を封じるべく、7人の暗殺プロフェッショナルがそれぞれの必殺技を武器にぞろぞろ集まってくる!
『NARC』で非凡な才能を見せつけた俊英カーナハンの待ちに待った新作は、冒頭の状況説明から圧倒的なグルーヴ感を保ったままラストまで突っ走るハイテンション・エンタテインメント。タランティーノやガイ・リッチーと比較されるのは百も承知、綿密に組み立てられたプロットと、ほんの脇役に至るまでマトモな奴が一人もいないキャラの可笑しさ・アホらしさ(カラテキッドには爆笑!)で勝負に挑む。
瞬時のショットでその人物像が無限に膨らむような情報を盛りこむのにも余念がないから、一瞬たりとも気を抜けない。かなりのオールスター・キャストなのに誰から順番に消えていくかまったく予想不能、散り際にも見せ場をいちいち作る余裕の冴えを見せてくれるのが楽しい。とりわけ映画初出演・凄腕女殺し屋のアリシア・キーズがキマリすぎの超好演!
ただしオチは前作同様かなり苦い。これはカーナハンの趣味ともいえるだろうが、この作品の場合はテーマ性云々より、卓抜したテクニックの冴えと開き直った遊び心をこそ楽しむべきだ。いわば、私ゃここまでやれまっせ、と職人モードでアピールに出た作品と見た。次作は暗黒小説の旗手、ジェイムズ・エルロイの「ホワイト・ジャズ」。期待してるぜっ!
Text:Milkman Saito