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メンズファッションの世界において、今もっともトレンドの予測が難しいアイテムのひとつがシューズである。かっての爆発的なスニーカーブームも遠い過去の話であり、ここ最近のドレスシューズの話題も、実際はそこまで明るいわけでもなく、一部のマニアの支持やコマーシャルのレベルで止まっていて、すべての層のニーズを満たすようなヒットとは限りなく縁遠いのが実状だろう。
このような傾向を踏まえると、ここ数シーズンは、流行を意識することよりも自分自身を見つめながら、個々のスタイルに適したシューズ選ぶすることで、足元からじっくりとコーディネイトを楽しめる時期なのかもしれない。
さて、こちらのブーツ2点は、オリジナルアイテムにはないファッション性が適度にブレンドされた、稀に見る秀作である。
グイディのパラシュートブーツは、アッパーにコードバンやスタッグ用いて、大量生産の工業製品では味わえない手作業の風合いを加えている。一方のドリス ヴァン ノッテンは、ライディングブーツのボリュームを抑え、ハードさを残しながらシャープな木型にすることで、新しいニュアンスを作り出している。
両者の物作りに通ずることは、必要となる要素に対しての加減を繰り返し、理想的なバランスに達した時に、タイミングを逃さず確実にフィニッシングしていることにある。その結果として、エレガンスとタフネスが共存する、時代のニーズに適したモダンなブーツの完成に到ったのである。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato