独創的な靴作りに始まり、ベーシックでありながら快適な着心地を追求したアパレル、さらにはブランドの持つ絶対的な美意識を具体化したショップ『F.I.L.』と、その世界観を着実かつ確実に表現してきた〈visvim〉。そんな〈visvim〉の“香り”の部分をサポートしているのが、今回お話しを伺ったフランスのフレグランスデザイナー、ブレイズ・マーティンである。
「2年前のファッションウィークの時期に(中村)ヒロキが泊まったホテルが、たまたま僕の名前入りのパフュームが使われている場所だったんだ。それがキッカケで連絡がきて、実際に会い、プロダクトまで一緒に作ることになったんだよ」
偶然から始まったパートナーシップではあるが、完成されたフレグランスキャンドルのその香りを嗅ぐと、この結びつきは必然だったと思わせるほど、〈visvim〉の持つ空気感を的確に捉えている。
「もちろん最初は戸惑ったよ。〈visvim〉に対する情報があまりにもなかったからね。ただ、実際に会い、話し合うことで、ヒロキのクリエイティブに対する考えや情熱に共感することができた。だから共にプロダクトを作るというのは、とても自然な流れだったよ。香りに関しては、日本のトラディショナルな場所である京都でインスピレーションを得たり、打合せを重ね、確認しながら進めていった。僕にとっての新たなカルチャーや情報を吸収しながら、物作りをすることはとても刺激的で、楽しい作業だったよ」
お互いの理解を深め、両者のクリエイティビティを凝縮することで生まれたフレグランスキャンドル。なかでも一際目を引くのが、約8個分のキャンドルをまとめたラージサイズの物だ。
「最初はヒロキがギフト用に大きなキャンドルを作れないかって言ってきたんだ。技術的には問題はないんだけど、僕のスタイルには無いアイディアだったから、とても驚いたよ(笑)。でも、そういう発想こそが〈visvim〉というレーベルのアイデンティティだと思うんだ。これからはキャンドルに限らず、あらゆるなかたちでヒロキと良い関係を続けていきたいね」。
Text:honeyee.com
Photo:Kentaro Matsumoto