クロムハーツ社とロバート・メイプルソープ財団による、センセーショナルなコラボレートアイテムが、今春、ついにその全貌を明かすことになった。
2006年11月6日のニューヨークにて、クロムハーツの社長兼デザイナーであるリチャード・スタークが、ブラジル サンパウロの友人と夕食をしていた際に、「もしメイプルソープが生きていたなら、クロムハ-ツを身に着けていたに違いない」、という話題が持ち上がったことが、コラボレーションの実現の発端となった。
20世紀を代表する芸術家のひとりであるメイプルソープは、スティルライフ、ポートレイト、ヌード、セックスの4つのテーマを中心に制作を行い、写真史はおろか美術史にまでその名を刻む傑作を数多く残している。一連のスキャンダラスな作品群は、賛否両論という言葉通りの批評を受け続け、時代をも呑み込み、彼を若くして巨匠と呼ばれる地位にまで押し上げた。HIVに感染したため、1989年3月、42歳の若さで他界したことも相まって、今や生き様や存在そのものが伝説と化している。
両社が協業をしていく上に当たって、インスピレーションの源泉となったのが、メイプルソープが生前身に付けていた、ブラックのレザージャケットやブラックデニム、金属製の装飾品のイメージ、または代表作において度々登場する、クロス・フラワー・スカル等のモチーフであった。
これらはクロムハーツにとっても、象徴的なアイテムでありモチーフであって、感性を共有していくには最適なものであった。そして、綿密な打ち合わせと試行錯誤を繰り返した結果、イマジネーションの結実が、ウエア・ジュエリー・アクセサリーとなって姿を現していったのである。
全アイテム通じて、メイプルソープの写真における官能や構成力、クロムハーツの品位や重厚感、両者の作品がともに保有している普遍性やクオリティが、ひとつのベクトルにまとまり有機的に結合している。
これを機に、クロムハーツのライフスタイルブランドとしてのスケールが以前にも増して明確になったことはいうまでもない。このスカーフ、クロスペンダントの他に、ライダースジャケット、フラワーモチーフのペンダント、ドッグタグなどがリリースされる。4/1からクロムハーツ直営店で一斉発売。
Text:Tsuneyuki Tokano