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急速にトレンドの細分化が進むファッションマーケットにおいて、より専門的なアイテムへの需要が増える一方、特定の枠に収まらないデザイン力や汎用性を備えた商材が求められている。
後者に当てはまる条件は一概にはいえないが、強いていえば、ジャンルを問わず活用できる“強度”を持ち得ていることが挙げられる。その具体例のひとつが、このグリフィンのバッグである。
ブランドのアイコンであるピースマークを迷彩風にアレンジしたプリントや、耐久性を考慮して使用したキャンバスやレザーによって、オリジナリティを演出している。さらに、センスやクオリティに依存することなく全体のバランスを重視することで、非常に優れたコンポジションを形成していることも、特筆すべき点である。
デザイナーのジェフ・グリフィンは、出身国のイギリスで培われた反骨的な気質と、イタリアの一流ブランドでの実績を持ち、ファッション業界屈指のミリタリーマニアとしても知られている。平和を象徴する記号の中に込められた流行へのアンチテーゼは、ストリートやモードといった垣根をいとも簡単に飛び越え、なんとも逞しくシーンを闊歩している。
Text:Tsuneyuki Tokano
Photo:Masaki Sato