06 4/26 UP

オールド・スクール・ヒップホップといえば、ブロック・パーティやグラフィティ、ダンサーは必須要素だが、いかついブラックマンが肩にかついだ巨大なラジカセもまた当時を象徴する重要なアイコンである。21世紀にあっては、音楽配信やモバイル・メディアが普及し、ラジカセは電気量販店から姿を消しつつあるが、当時のカルチャーを愛し、低音と高音を強調するべく独自の音響設計が施されたラジカセに敢えてこだわるユーザーも都内には実は少なからずいる。そんなマニア達が通い詰めていることでも知られる高円寺の日本製中古ラジカセ・ショップ、TURBO SONICのプロデュースによるコンピレーション・アルバム『TURBO SONIC VOL.1』が登場した。
上記の文脈を踏まえると、この作品はオールド・スクール・ヒップホップやエレクトロのコンピレーションであってもおかしくはないわけだが、本作は意外や意外に国産ハウス・トラック集というから実にふるっている。その作品ディレクションはTURBO SONICオーナーの鶴岡正吾氏が黎明期のハウス・シーンでDJとして活躍していたこととも関係しているようだが、参加アーティストはMOODMAN、二見裕志と山崎ごうからなるWORLD FAMOUS、Traks Boysら、日本のアンダーグラウンド・シーンで注目を集めるオルタナティヴなハウスDJ/クリエイターたち。元ILLDOZEの1DRINKとABE SHUHEIからなるJAYPEGやDiscossession Exprerienceほか、この作品で初めて音源制作を行う面々も多く、しかも、そのサウンドはマスタリングに際して、アナログ・コンプレッサーをかけ、70~80年代にクラシックの録音会で使用されていたTEAC A 3300-Sを通して行われており、TURBO SONICらしいこだわりが本作を特別な作品へと昇華しているのだ。まずはこの作品を取っ掛かりとして、いまだ熱狂的支持者も多いラジカセ・カルチャーの奥深い世界に一歩足を踏み出してみてはいかがだろうか?

『TURBOSONIC VOL.1』
V.A.
発売中

www.honeyee.com

top