前身グループ、ワイルド・バンチのオリジナル・メンバーであるDJマイロや子育てを理由にグループでの活動を休止しているダディGが昨年相次いで来日を果たし、本体の活動が注目されていたマッシヴ・アタックが15年のキャリアで初となるベスト・アルバム『COLLECTED』を発表する。全12曲からなる本作はもちろんメンバーが選曲を担当。その内容に関しては、ヒップホップとパンク/ニューウェイヴ、レゲエ/ダブを美しくも陰影のある英国マナーにまとめ上げた衝撃のデビュー作『Blue Lines』('91年)、トリップホップやアブストラクト・ヒップホップの隆盛を後押しした2nd作『Protection』('95年)、最大のセールスを記録した『Mezzanie』('98年)からの楽曲はもちろんのこと、リリース当時、不評を買った4th作『100th Window』('03年)から4曲が選ばれているのが特徴で、エレクトロニカやニューウェイヴ・リバイバルを経た耳で聴くそれらの楽曲は再発見も多い。また、本作には日本でもお馴染みの黒人フォーク・シンガー、テリー・キャリアーをフィーチャーした新曲「Live With Me」も収録されており、こちらはストリングスとソウル的な温かみのあるベースラインが初期の彼らを彷彿とさせる内容になっている。
また、同時リリースされる同作のスペシャル・エディションは3曲の新曲と未発売音源からなる10曲、そしてジョナサン・グレイザーが手掛けた「Live With Me」のPVを収録したボーナス・ディスク付き。こちらの新曲は詳細不明ながら、どうやらダディG不在のまま、3Dことロバート・デル・ナジャと共同プロデューサーのニール・ダヴィッジが短期間で制作したものらしく、「False Flags」にはRadioheadのトム・ヨークのヴォーカル・サンプルが使用されているほか、「Joy Luck Club」には新人4人組グループ、OOMから英国版ビョークとも評されるデビー・クレア、「Silent Spring」には「Teardrop」でもコラボレーションを行っている元コクトー・ツインズのエリザベス・フレイザーをそれぞれフィーチャーしており、それらの新曲の先には、現在、制作中というニュー・アルバム『Weather Underground』が念頭にあるようだ。そちらのレコーディンもどうやら相当に順調なようで、地元ブリストルとニューヨークを往き来しながら現時点で7曲が完成。リリースは来年ということだが、今年夏から秋にかけて世界各国のミュージック・フェスティヴァルへの出演も予定されているというから、このベスト・アルバムで彼らの足跡を振り返りつつ、今後の展開を大いに期待したいところだ。