UNITED BAMBOO、A.P.C.などのモデルを務めて以来、ファッションシーンからも多大な注目を浴びるMATADORレーベルの歌姫、キャット・パワーことショーン・マーシャル。先日、日本先行発売された新作はその名も『THE GREATEST』。03年の名作『YOU ARE FREE』でも味わえた素晴らしくリラキシンなチョコレート・ヴォイスと“何でもないようでいて刺激的”なサウンドをそのままに、より豊潤で明るいトーン に満ちた空気が印象的だ。
「私のファンもレーベルもバンド新録を聴きたがっていたのは知ってたんだけど、ここのと ころソロ・レコーディングが続いてたの。そんな時レーベルから理想的な(バンド・アルバムを作る)“夢”のシチュエーションはどんな?って聞かれて。私はオーティス・レディングとアル・グリーンのバンドを思いついたから、ちょうど友人から『まだ活動してる』って聞いてたアル・グリーンのバンドって答えたら、30分もしないうちにレーベルが、私の“夢”の実現に必要な2つの電話番号を手に入れてくれたのよ」
というわけでアル・グリーン作品でも知られるティーニー&リロイ=ホッジズ兄弟をはじめ、メンフィスのトップ・アーティストたちと『THE GREATEST』は作られた。そこには、ヒントとなった明確なモチーフも、今までにない新しい試みも「特にない」と答えるショーン。いつもどおり溢れるままにギターやピアノで綴った旋律を、夢のバンドと共に仕上げていったという。あくまで自身の日常の延長線上にある歌たちは、そのパーソナルな聴き心地から“彼女の今”を説明なしに感じられ、同時にリスナーのパーソナルな心情にも共鳴する。
「自分自身を表現することは、内的、もしくは外的な…たとえば人間の精神性や人とのつながりを置き換えたようなものだと思う。“解放する”と言ってもいいかもしれない。本作に明るいトーンを感じられるのは“解放”が生んだ結果だと信じてるわ」
ちなみに2月にはメンフィスのメンバーとともに全米10都市ツアーの予定。
「日本にもずいぶん行ってないなー。最後に行った時はちょっと躁状態になってて、ライヴの後にリラックス&ヒーリングしたくて、結局"mountain ryokan"に行ったんだっけ!次は3月か4月に行けたらなって思うわ!」
本作をナマで体験できるスペシャルな日も近そうだ。