06 7/28 UP
うう。と、とにかく男にとっては痛い、痛すぎる映画だ。精神的に、そして何より肉体的に!
出会い系チャットで知りあってから3週間。14歳の少女ヘイリーと32歳のファッション写真家ジェフは、ついに実際に会ってみることにする。赤ずきんちゃんを思わせる真っ赤なパーカーを着てカフェ(エドワード・ホッパーの絵画にちなんで、その名も「ナイトホークス」!)に出かける彼女。はたして「ゼイディ・スミスを読み、モンティ・パイソンが好きで、コールドプレイを聴き、まだブレイクしてない新人バンドにも注目してる」ジェフといきなり意気投合、誘われるがままに彼の自宅へとついていった。ポップ・カルチャーとセックスにただ好奇心旺盛なだけに見えるヘイリー。しかし「父が医学部教授」という彼女には、ある“まっとうにして恐るべき”計画があった……!
ほとんど2人だけで進行していく密室劇なのに、舞台的な退屈さなど皆無。ジェフ役パトリック・ウィルソンのお洒落な性的男性ぶりもナイスだけど、なんといっても素晴らしいのがヘイリー役のエレン・ペイジ。微妙にオカメ顔でベティ・ブープ・ヘアの、圧倒的にリアリティある「ロリータ」ぶりは衝撃である。『X-MEN:ファイナル デシジョン』なんてブロックバスターにも壁抜け超能力少女として顔を見せているが、超個性派の登場として注目しよう。
さらに、その上をいくのが監督デイヴィッド・スレイドの才気溢れる演出術。溢れかえる会話のテンポも、画面の構図も、色彩や質感も極めてソリッド。とりかくキレが良く、スリリングでカッコいいのだ(グラフィカルなタイトル・デザインにも注目)。CMやPVの分野では実績ある“新鋭”だが、今後化けまくる予感大!
Text : Milkman Saito