「実は、一人のファンが、俺たちのライヴ映像を携帯で32秒くらい撮影して、それを俺たちのホームページのブログに上げたんだ。それで俺たちは、ブートレッグの概念を広げてみようと思ったんだよ。ブートレッグの欠点は、音質が悪いということと、アングルが一つしかないということ。だから俺たちの映画では、いろんなアングルから撮影して、マルチトラックで音を録音することにした。俺たちのホームページに、ライヴ撮影をしてみたいファンを募集したんだ」(MCA)
NY・マジソン・スクエア・ガーデンで行われたビースティ・ボーイズのライブの模様を当日会場に集まった50人のファンに思い思いに撮影させ、それらの映像をツギハギながら1本のライブフィルムとして完成させた画期的な“音楽映画”。それが『 ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国 』だ。
それにしても、ファンが好き勝手に撮った自分たちの映像を抜群のセンスとユーモア感覚、そして巧みなスキルでエディットし、前代未聞の映像作品を仕上げるとは、いかにもビースティ・ボーイズらしい。
アドロック(以下A)「ちょっと期待はずれだったのが、エロイ映像が少なかったことだね(笑)」
MCA「俺が思い出深かったのは、一人の撮影者は自分がオシッコしてるところを撮影してから、カメラのレンズを取り付けて、長い間ずっとトイレの中に入ったままだったんだ。数分間トイレの中で何をやっていたかが謎なんだよ」
A「俺は何をやっていたか分かる気がするよ(笑)」
MCA「アマチュアに撮ってもらって良かったと思うよ。多くのコンサート映画では、会場のエネルギーが伝わってこないんだ。でもオーディエンスに撮影してもらったから、コンサートのエネルギーを凝縮できたと思う」
ところで、メンバー自身が印象に残ったシーンとは?
A「マイクがビーチで踊ってるシーンだね」
MCA「最初見たとき、マイクは気に入ってなかったんだよ。でも今は好きになったんだよな。有害なシーンではないことが分かったんだよ」
Mike D(以下MD)「あのシーンと、俺が上半身裸になるシーンがファンにウケがいいらしい(笑)」
MCA「お前が裸になるときは、性的に興奮するシーンだよな(笑)。裸になることで、自分自身を知ることができたんじゃないかな」