06 5/23 UP
2004年10月4日。ニュー・ヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」でのビースティ・ボーイズのライブが行われた。そして、このライブを記録するためにメンバーは、50人の観客に1台づつのビデオ・カメラを手渡した。この50人は、それぞれの視点でこの夜のパフォーマンスを切り取っていった。そして色鮮やかで生き生きとした彼らの視線から、これまでどんなコンサート・フィルムもなしえなかった圧倒的なライブ映像記録を生んだ。それがこの作品『 AWESOME; I FUCKIN' SHOT THAT! 』だ。
観客席に散っていた素人カメラマンたちによる50台のハンディカメラの映像はブレたり、ステージが写っていなかったりと、普通に考えたら「ボツ」になるようなクオリティのものなのだが、ポストプロダクションによるスピーディな切り替えと多彩なエフェクト、そしてサウンドとのパーフェクトなシンクロにより圧倒的な臨場感を伝える素晴らしい仕上がりとなっている。
そもそも、この素人カメラマンたちにとって“ビースティ・ボーイズのコンサート”は思い切り楽しむためのものであって、彼らはカメラを回すことを「仕事」だなんて当然思っていない。だから、まわりの客のリアクションが面白ければ、視線はそちらに止まるし、途中、トイレ休憩に行く時もカメラは持ちっぱなし(これはヤラセっぽいけど)。それだけにこの映画を見ていると「この日、この場所で一体、何が行なわれていたか」を会場のあちこちに移動しながらリアルタイムでチェックしている感覚になる。これは、いままでにない映像体験ではないだろうか。
90分間、途中でダレることなく一気に見ることのできる、まさに新感覚ライブ映画。歴史に残ること、間違いなし。
Text:honeyee.com