HELMUT LANG 偉大なデザイナーへの敬意と革新性を継承した、クールで鮮烈な1stコレクション。
06 11/15 UP

来春、あのヘルムート ラングが、新体制の下、リスタートを切ることになった。デザイナーに就任したのは、マイケル・コロボスとニコル・コロボス夫妻。彼らのこれまでのファッションビジネスのキャリアは多岐に渡る。

マイケルはNYを拠点に、主にイラストレーター業やアパレルでのデザイン活動をこなし、一方ニコルは、オーストラリアン エル、USハーパース バザーなどで、ファッションエディターとして活躍していた。その後2人は、2002年ニューヨークにて、ファッションブランド“ハビチュアル”を創設。2003年の結婚後に、デニムの聖地ともいえるロサンゼルスに移住。ビジネスは飛躍的な成長を遂げた。世界のファッションマーケットに絶大な影響力を持つLAという環境もさることながら、お互いの能力を理解し合い、パートナーの長所を引き出せたことが成功の理由だと、多くの関係者に語られている。さらには2004に、CFDAファッションアワードで新人賞を受賞。5万ドルの賞金とともに1年間ビジネスの教育を受けた。そして、2006年A/Wコレクションをもってハビチュアルのデザイナーを退任、現在に至る。

ここで本題に話を移すと、デビューコレクションは、伝統的なキャットウォークの形式ではなく、クールで鮮烈なイメージのファッションフォトによって発表され、偉大なるヘルムート ラングへの敬意と革新的なスピリッツを持ち合わせた、“新生”という言葉にふさわしい内容となった。ラングといえば、かって80年代に、従来のプレタポルテの印象を一新する、知的でミニマルなスタイルを提示したことで知られている。これは90年代を予見する先見性が垣間見れた瞬間であり、革命的な出来事であった。
以後このスタイルは、ブランドの基本概念として、終始ストイックに貫かれた。この素晴らしい遺産に頼らずに、あくまでもインスピレーションの一部として継承していることが、今回のコロブス夫妻のセンスの見せ所となった。メンズ・レディス一貫したコンセプトを設け、新たなキーピースとなるアイテムを吟味しながら、こだわりの素材と流行に媚びないプロポーションで再構築した。創り出された衣服は、着飾るためでなく、着る者の内面性を写し出す鏡に等しい存在であり、知性や品位、官能などを現す能力を兼ね備えている。

大きな転換期を迎えている現在のファッションシーンにおいて、新生ヘルムート ラングの胎動がどのような結果をもたらすのか、今後とも大いに期待したいものだ。



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