06 10/12 UP
2006A/Wのメンズプレタポルテでもっとも大きく提案されている
“スーツスタイル”。この傾向にありとあらゆるファッションブランドがこぞって便乗しているが、単なるコピー品や勢いだけで作られたものが多い。本来この手のアイテムは、テーラードの基礎的な
知識を理解した上で敢えてルールを破ることで創れるファッションアイテムであり、誰もが手軽に商品化できるような代物ではない。
だが同時に、これらの課題をいとも簡単にクリアし、すばらしい商品を提供しているデザイナーも多数いる。幼少の頃からテーラーを営む父親の影響を受け、自身も本格的なテーラリングを習得したキャロル クリスチャン ポエルもそのひとりであろう。スーツはポエルのシーズンレスな定番アイテムで、美しく独創的なフォルムは絶大な評価を得ている。こちらのラミー素材のモデルも、どう転んでもお決まりのスーチングにはならない、いい意味でのひねくれ加減が見事。確かに通好みで万人が似合うスタイルではないが、着こなせれば強力なパワーアイテムになることは間違いないはずだ。
Text : Tsuneyuki Tokano