06 6/22 UP
音楽とファッションの融合を謳い、ミュージックカルチャーからインスピレーションを得ようとするデザイナーやブランドは多数ある。けれど、アイコンとしての“ロックヒーロー”のサンプリングであったり、かつてのムーブメントをイメージとして表現するといった、あくまでヴィジブルな“デザインソース”として良くも悪くも表層的なモチーフとしているものがほとんどである。
が、しかし。ここで紹介するブランド“Useless”と音楽との関係はあまたのデザイナーたちとは確実に一線を画す。その違いを言葉で表現するのは、なんとも難しいのだが、あえて言うなら
服をデザインする以前に、“感覚”として音楽が先にある。それが“useless”なのである。
さらにこの“Useless”の場合、その感覚化された“音楽”とは、エッジィなクラブミュージックを指す。つまり、移り変わりの激しい音楽シーンの先端に立つものが持つ鋭敏なアンテナがキャッチした“時代の空気”を“服というメディア”を通して表現しているのである。よって“Useless”は、単に音楽へオマージュを捧げているのではない。
もちろん、クラブに着ていくためだけの服でもない。服から発信されるヴァイブレーションに共鳴する者が、日常を快適に過ごすための道具。それが、このブランドがリリースするアイテムなのである。当然、そこにはモード/ストリートといった二項対立も意味をもたない。
*“Useless”のTシャツはhnyee.Storeにて販売中です。
Text:Tetsuya Suzuki
Photo:Masaki Sato
Photo:Masaki Sato