パリの北マレ地区といえば、ここ最近一気におしゃれスポットとして注目を浴び、ギャラリーやブティック、話題のホテルなどが続々とオープンする地区である。1月末〜2月頭、パリコレのこの期間、この北マレで「TREASURE」という名の合同展示会が行われていた。「roarguns(roarのヨーロッパでの商標である)」「Puerta Del Sol」「kiryuyrik」「troiso」「Kyoji Maruyama」日本の5つのブランド、それに加えてroarのデザイナー濱中氏の実弟による「Shiro Hamanaka Ceramic」の陶器作品を合わせた合同の展示会である。
実はこの「TREASURE」は昨年の7月に引き続き、今回が第2回となる。さらに、実は本来は1年前の冬のパリコレ時期に「MASTER MIND JAPAN」の展示会場を間借りして、というかたちで「roarguns」「Puerta Del Sol」「kiryuyrik」の3つのブランドがパリ進出を果たした事に端を発するのだそうで、その3ブランドが独立し、合同展示会のかたちでスタートしたのが「TREASURE」ということである。昨年の7月、ヨーロッパ各国をはじめ、予想以上の反響を得たことで、今回はさらに3つのブランドも合流、ジャパニーズ・ブランドの一大合同展示会となったというわけだ。
中世を思わせる石造りの壁、アーチ状のゲートで仕切られた、雰囲気抜群のカーヴ(地下室)。4つのスペースを6つのブランドで上手く分割しながら、各ブランドがそれぞれのブランドの特色もちゃんと見せる、といううまく組み立てられた展示会場。
一週間の展示期間中、日々世界各地からのバイヤー、プレスが訪れ、新鮮な日本のブランドとの出会いを喜んでいるように見えた。英語やフランス語、イタリア語が飛び交う。イギリスのある雑誌ではいちはやくこの「TREASURE」を紹介したいと、デザイナー諸氏を一同に並べてインタヴュー&シューティングが行われる。
もちろん、ファッション・ウィークのパリには多くのスタイリストやバイヤーが日本からも訪れている、ということで、会場にも東京でも交流のある多くの親友が続々と激励に(?)訪れる。ミラノでの展示会を終えて駆けつけたRoenのデザイナー高原啓氏、BACKLASHの片山勇氏、スタイリストの坂崎タケシ氏、そしてもちろん同時期にパリで展示会中のMASTER MIND JAPAN本間正章氏、さらにはhoneyee.comでもおなじみFantastic Plastic Machineの田中知之氏(プライヴェートのオフ&パーティのDJでパリに!)やケツメイシのRYOJI氏までも…。東京でも滅多に集結しないほどの友人たちがこのパリの「TREASURE」の会場に…というのもなんともゴージャスで面白い。
まだ2回目の合同展示会「TREASURE」ではあるが、世界が注目しているパリのファッション・ウィークの中で、「ジャパニーズ・ブランド」の誇りを見せつけてくれているように感じた。世界レベルで見れば、まだ始まったばかりの“小さな”ムーブメントかも知れないが、MASTER MIND JAPANが空けた風穴は確実に大きな風を吹かせようとしているのを、この「TREASURE」から感じるのは容易であった。
Photo: Koji Shinjo / Shoichi Kajino