06 11/13 UP

10月末、青山に華々しくもひっそりとオープンしたバーがある。ル・バロン・ド・パリ。パリ16区、シャンゼリゼからほど近く、各界の著名人やアーティストや俳優・女優が夜な夜な集まる伝説のバー「ル・バロン」の東京店である。

「マーク・ニューソンと2人でパリのル・バロンで飲んでいた時、——彼もとても日本が好きで、よく東京を訪れていたんだけど——、東京にもル・バロンみたいに僕らが楽しめる場所があればいいね…という夢のような話をしていたんだ。それが知らないうちに現実となってしまった、ほんの1年ちょっとで…」と語るのは、オーナーの中心的存在でもあるグラフィティ・アーティストのアンドレ。

青山通りを少し入った路地、おもむろに光るピンクのネオンサイン「B」に誘われ奥の闇へ。階段を下り、パリの街角を模したエントランスを通って、重い扉を開くと、そこに広がるのは真っ赤な空間。ソファーもネオンも妖艶に赤く輝くサロン、ここがル・バロンである。

パリ本店もいわゆる夜遊びとは無縁の一角の16区に突如その姿を現すようなル・バロンだが、アンドレは東京店の進出にあたって、この青山という立地にもこだわっていた。

「六本木のようなにぎやかな場所はきらいなんだ。ここは全くパリのル・バロンと同じ、ゆっくりくつろいで、楽しめる場所にしたかった…。僕らと僕らの愛すべき友人のための会員制クラブなんだ」というアンドレの言葉通り、そこはとてもプライヴェートな雰囲気のサロンのよう。オープニング・ウィーク、DJを担当していたのは彼のミューズ、オランピア・ル・タン。DJ…といってもいわゆるクラブのような音楽はここには似つかわしくない。パリ同様キッチュでユニークな選曲が会話を弾ませてくれる。さらに、隠し扉の奥にはマーク・ニューソンがデザインしたというお座敷サロンや、魅惑のカラオケ・ルームまで…。

2004年のオープン以来、ファッション、映画、音楽、さまざまなジャンルのアーティストたちの交流の場としても知られるパリのル・バロンだが、ここ東京でもこのサロンから新しいカルチャーの融合が生まれるような気がする。

 



 

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