ときにユーモアさえ感じさせる、このうえなくスタイリッシュなマッシュアップDJ、2many dj's。この世界各都市のファッションピープルを夢中にさせている兄弟2人組のDJが核をなすユニット、それがSOUL WAXだ。先頃リリースされた彼らのニューアルバム『NITE-VERSIONS』は80年代のエレクトロニックな音楽、つまり、きらびやかな危うさを感じさせた往年のダンスミュージックの2005年バージョンのように聴くこともできる。だが、中心人物であるデヴィッド・デラーワはそうではないと語る。
「別に当時の音楽を意識しているわけじゃない。でも、『NITE-VERSIONS』は 80年代とその頃のリミックス・テクニックに対するトリビュートではある。リミックスってナイトクラブでもプレイして貰えるように作られたものなんだ。例えば今回のアルバムタイトルを頂戴したデュランデュランの話なんだけど、オリジナルのマスターテープをカットしたくなかったんで、エクステンディッド・バージョンをわざわざ録り直したらしいんだ!」
俗にエレクトロクラッシュと 呼ばれる、いささかハイプが先行しているように思えるジャンルにこのアルバムの音は属すのかもしれない。しかし、彼らの音楽はメディアの思惑をすり抜け“パーティミュージック”という、このシンプルな一言に行き着く。全員が白のタキシードに身を包んだ最新のフォトセッションがそれを雄弁に語っている。
「『NITE-VERSIONS』のコンセプトは、夜、パーティ、クラブ。だから、パーティ=タキシード=白=ロキシーミュージック。そうじゃない?」
では、デヴィッドが考えるこのアルバムのキャッチフレーズは?
「僕らはトラディショナルなロックバンドの型を突き破って、今やっている事がやりたかった。その意味で、〈グロースティック時代の女王、遂に誕生!〉ってところかな」
Photo:Alex Salinas