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THINK PIECE

NOEL & GALLAGHER

最新にして究極のアナログDJ、"ノエル&ギャラガー"

12 5/24 UP

photo: Shoichi Kajino text: Tetsuya Suzuki

元ピチカート・ファイヴ小西康陽の“親友”であるDJギャラガーと、
知る人ぞ知る高松の凄腕DJ、ノエルの「奇跡の出会い」によって生まれたB2B-DJユニット“ノエル&ギャラガー”。
圧倒的にジャンルを超えたワールドワイドな7インチを猛スピードでミックスする2人の姿は、
さながら「エンドレスでアクロバティックなテニスのラリー」。
超注目の2人の「肉声」を独占&初公開!

 

──
ノエルさんとギャラガーさんが出会った経緯を教えて下さい。
DJ ギャラガー(以下: G )
「去年かな、ノエルさんと小西さんでDJの現場が一緒になった時があったらしく、そのとき凄く意気投合したそうなんですよ。ただ、小西さんはちょうどソロアルバムの制作中で、(ノエルさんとのプロジェクトに)時間を割くことができない、と(笑)。そこで、『僕の代わりにノエルさんとやってくれ』と小西さんに言われて……(笑)その後ノエルさんとご対面、『君がDJノエルかぁ、なら俺はDJギャラガーだな』という感じで。。。」
DJ ノエル(以下: N )
「やっぱり、その設定から入らないとダメですか(笑)。まあ、どちらにせよ(笑)、一緒にDJをして、深夜から明け方にかけて、バックトゥバックをしたら、とても調子がよかったので、それがユニットを結成することとなったきっかけですね」
G
「あとで、聞いたらノエルさんはいろんな人とバック・トゥ・バックをするらしいんだけれど、割と息が合ってたんだよね」

N
「割とというか、相当合ってましたよ。 僕はバック・トゥ・バックという行為自体が好きでいろんな人とよくするのですが、自分が“アガる(高揚する)”、というのは、実はあまりなくて。でも、小西さんとのバック・トゥ・バックは自分もかなり盛り上がり、まさに、2人の間に化学反応が起きてるのを感じました。刺激的な夜でしたね」
G
「パーティの終わり頃って、なんとなくバック・トゥ・バックになるわけだけれど、実際は“お義理”でやってることもあるよね(笑)。(バック・トゥ・バックは)そのDJの資質がすごく出てしまうから、センスのない人だと、それがバレてしまうし。実は誰とでもやれるというわけではないですよね。決して楽しい時ばかりではない(笑)」
N
「バレますね(笑)1曲聴いたら大体わかる。この感情をなんと表現したらいいかわからないけれど、なんというかこう。。。“来る”んですよね。ノエル&ギャラガーとして何回かやらしてもらっていますけれど、“今日ヤバかったね”ってときは、お互い何も言わなくても通じてるというか、お互いにそれを感じ合えていると思います。もし相手が女性であったら、これは、まさにSEXかも(笑)」
──
主にアナログ7インチでとか、いい頃合いにサビ終わりでのスイッチのタイミングだとか、暗黙のルールが結構あると思うのですが。
N
「そうですね、僕たちは事前に打ち合わせを一切しない完全現場フリースタイル。暗黙のルールというか阿吽の呼吸?(笑)僕なんかはむしろ、サビをあえて切るのはよくやりますね(笑)。これは、相手を信じてないとできないというか、ギャラガーさんも言ってましたけど、卓球のラリーみたいな感覚で、なんというか、スマッシュの打ち合い(笑)。でも、常に上がりっぱなしというわけではなく、お互いのバランス感覚を個々に持ちつつ、受けつつ。そうしないと2人いても成立しないものなので、そういうニュアンス的なところも含めて成立する相手は、僕の場合はギャラガーさんが初めてだったんですよね。で、これはモノになるんじゃないかななんて思ったりして(笑)」

 

──
ノエルさんもギャラガーさんもお互いを意識しつつ、けれど、当然フロアも意識してお客さんを巻き込みながら“ラリーを続ける”という感覚でしょうか。
G
「そう、そのバランスですね。明け方のバック・トゥ・バックと違うのは、キッチリお客さんの様子を見ていること」
N
「そう! それは、大きいですよね。まあ、本来は基本なんですけど」
──
ところで、ノエル&ギャラガー誕生を間近で見た梶野さんの印象は?
梶野彰一
「ノエル&ギャラガーをはじめてみた時の衝撃は、DJもさることながら(笑)、本番前に突然『ノエルさんがいない』ってことになって、小、じゃなくて、ギャラガーさんも(笑)、本気で心配そうにしていて、で、皆でノエルさんを探したりして。しかも会場は池袋の『スナック馬場』っていう、有名なバーだとあとから聞いたんですが、なんか、パーティというかクラブ・イベントをやってるような場所に見えないわけですよ。しばらくして、ノエルさんが“発見”されたときは、もう、それだけで、異常に盛り上がって(笑)。不思議な夜でしたね、アレは。DJに関して言えば、さっき『相手の曲のサビを切って、自分の曲に持っていく』ってありましたけれど、そういうスピード感にフロアが巻き込まれていく感じは圧倒的ですよね」
──
お互いに本来のDJの選曲は変わったりするのでしょうか。
G
「選曲はそんな変わらないですけど……」

N
「選曲は変わらないけど、少しプレイの仕方が変わりましたね。つなぎがどんどん早くなってきています(笑)」
G
「あ、それは僕も。どんどん早くなってる(笑)」
N
「もう、衝動を押さえられなくなっている。ひらめいたら『次に行かないと』って(笑)。打ち込みの曲メインでDJしている場合は、一度つなぎ場所を逃したとしても、次のポイントがまたやってくるけれど、僕らのように古い音楽を中心にプレイしていると『このタイミングをを逃すと、次はもうない!』ということを分っているので、パーンてひらめいたら、もう行くしかないという……。あと、サビで盛り上がる前に切ってしまうというのは、本来あるサビよりも(次の曲で)盛り上げないといけないわけです。これはもうセンスとガッツです。あとよくあるのは、ギャラガーさんから立て続けに同じ感じの選曲が3曲くらい出てきて、ギャラガーさんこっちに行きたいんだろうな、と感じながら、全然反対の方向へ引っ張ったりすることも。綱引きしてるみたいですね(笑)」