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THINK PIECE

RETURN OF DISCO FEAT. KZA

KZAエクスクルーシヴDJミックスを公開中!

12 5/16 UP

photo: Satomi Yamauchi text: yk

1960年代から現在に至るまで、ダンス・フロアに欠かすことのできない音楽の一つであるディスコ・ミュージック。そして今、クラブシーンでは往年のディスコ・ミュージックを再評価、再構築したリエディット・ディスコや、現代的にその要素を取り入れたニュー・ディスコが様々なシーンを巻き込み、異様なまでの盛り上がりを見せている。日本屈指のレコード・コレクターであり、ダンス・ミュージックを独自のスタンスで追求するDJ、KZAにその全貌を伺った。

KZA

サンプリング/ヴァイナル文化への強い愛情を胸に、ダンス・ミュージックを独自のスタンスで追求し続けるDJ/プロデューサー。DJ KENTとのユニット、FORCE OF NATUREとしてこれまでに3枚のオリジナルアルバムをリリースする他、2009年にはKZA 名義初の1st ALBUM 『D.A.E.』をリリース。2010年にはRE-EDIT専門レーベルLET'S GET LOSTもスタート。

 

KZAがハニカムのためだけに制作したエクスクルーシヴミックスを公開中!
ダウンロードは先着100名様まで。

 

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先日はモスクワでDJされてきたそうですね。
「突然ブッキングしてもらって、急遽行くことになったんですよ。モスクワのクラブシーンはヨーロッパの地方都市という感じで、徐々に盛り上がりつつある印象を受けました。プレイしたのはクラブというより、キャパ200人くらいのちょっと大きめのバーだったので、あまりアゲ過ぎず、遅めのトラックを多くかけました」
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FORCE OF NATUREとしてはもちろんですが、最近は個々の活動も活発になっていますよね。
「そうですね。でも基本的にはDJばっかりやっています。制作に関しては、僕はサンプリングベースで曲を作っているので、そのネタとなるものを見つけてから膨らませていくという感じですね」
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ディスコという音楽はいつの時代も常にクラブシーンのトレンドのどこかに位置していたと思うのですが、最近はDJ HARVEYの様な往年のリエディット・ディスコと、PERMANENT VACATIONといったレーベルに代表される現代的なミニマル・ディスコが混在して異様な盛り上がりを見せている印象があるのですが、いかがでしょうか?
「確かに、今のシーンにはその二つがバランス良く混じり合っている印象がありますね。個人的にはもちろん昔のトラックをエディットしたトラックも好きなんですが、最近のニュー・ディスコもすごく好きです。ちょっと前はテックハウスばかりプレイしていたんですが、最近はまたディスコとハウスが中心になってきているんですよ。今、NICHOLASやTOOMY DISCOといったアーティストが好きなんですけど、他にもディスコ物のトラックを良いペースでリリースしている人たちがいるので、その辺りは常にチェックしていますね」
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新譜はどこでチェックされているんですか?
「レコードはお店に行ったり、ウェブで試聴して買ったりですね。デジタルだと今まではbeatportが多かったんですけど、最近はJUNOも良くなってきていて、ディスコ物だとbeatportよりJUNOの方が強い気がします」
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ディスコ物と一言で言っても、最近はEDDIE Cのようなスローなリエディット・トラックもあれば、テックハウスのアッパーなビートにディスコのエッセンスを加えたものまで、多岐に渡ってその影響が感じられますよね。
「僕はどれも好きですね。あとリエディットでいうと、ディスコではないんですがDJ HELLがアナログだけでリリースしている曲がすごく良いんですよ。最近はハウスでも過去の曲を今風にアレンジしたリエディット増えていて、リエディット文化というもの自体が改めて盛り上がり始めている気がしますね」

 

──
KZAさんは平日のバーの様な場所から、週末の大箱と呼ばれるクラブまで幅広くプレイされていますが、ディスコは常に根底にあるものなのでしょうか?
「元を辿るとヒップホップが僕のルーツなので、そういう意味ではなんでもかけるという感じですね。ただその中でも特にディスコは好きなので、その要素は随所に感じられると思います」
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今のディスコ・ムーブメントは、かつてエレクトロをプレイしていた人たちの一部と、ミニマルなハウスのシーンの中間に位置していて、両者がクロスオーバーし始めているように感じるのですが、いかがでしょうか?
「そうかもそれないですね。どこのシーンも多かれ少なかれディスコを取り入れているような印象があります。ディスコは踊るための音楽、という根底的な部分があるので自然な流れではありますよね。ただ当時のエレクトロ・ムーブメントの盛り上がり方に比べると、今の方がやや音楽的にコアなものだと思います。可能性としては今後もっと多くの人を巻き込める音楽だと思うので、マニアックに音楽を聴いている人だけでなく、ファッション関係の人たちや他の色んなシーンを取り込んでいって、もっとシーンが大きくなるといいですね」
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一時、ファッション系のイベントといえばエレクトロ、みたいなところがありましたけど、最近は音数がどんどん減ってきていて、海外のアッパーなイベントでもミニマルなものが好まれるようになってきているみたいですね。
「海外ではお祭り騒ぎできるものよりも、割とクールなノリが最近のトレンドみたいですね。日本は未だに分かりやすいものが好まれる部分が多いですけど、徐々にそうなっていくような気がしています」
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DJで地方に行かれることも多いと思うのですが、シーンとしてはどのような状況なのでしょうか?
「どこの場所でも、一人は頑張って地元を盛り上げようとしている人がいるんですよ。だから、その人を中心にその地域のシーンが出来上がって、東京からゲストが行ってもスムーズに楽しめている感じですね。今、意外と中国地方が面白くて、広島や岡山辺りが盛り上がっているんですよ。関西は最近色々な問題で大変みたいですけど、デイイベントとして開催したり、苦労しながらもそれぞれ工夫しながら、シーンを絶やさないように頑張っているみたいですね」
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FORCE OF NATUREのレギュラーイベントとして渋谷SECO BARで開催されている”FORCE FIELD”ではどんなDJがプレイしているんですか?
「僕らの他には、後輩から先輩まで自分達と同じ目線で音楽を捉えている人たちに出演してもらっています。ここでは四つ打ちを中心にしながらもごちゃ混ぜな感じなんですが、やっぱりディスコ物をかけることが多いですね」