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THINK PIECE

ミュールバウアー×NIGO®

伝統の継承とアップデート。老舗ブランド、ミュールバウアーの魅力。

11 10/17 UP

photo:Kentaro Matsumoto text:honeyee.com

100年以上の歴史を持つオーストリアの老舗帽子ブランド、MÜHLBAUER(ミュールバウアー)。
全てハンドメイドで制作される独特の風合いの帽子は、ブラッド・ピットやオノ・ヨーコといったセレブリティをはじめ、
世界中の愛好家たちから熱狂的な支持を得ている。
今回は以前からミュールバウアーの帽子を愛用し、30個以上ものコレクションを持つというNIGO®との対談が実現。
NIGO®を虜にしたュールバウアーの魅力に迫る。

 

──
お会いされるのは今回が初めてとのことですが、NIGO®さんは以前からミュールバウアーのファンだったそうですね。
NIGO®(以下: N )
「そうなんです。2年程前に伊勢丹でイベントをやった時の帰り際、地下通路のショーウィンドウにミュールバウアーの帽子が飾ってあったのを見かけて、急ぎ足だったにも関わらず完全に足を止めて見入ってしまいました。一緒にいた奥さんも、その時偶然にミュールバウアーを被っていて、”知らないの?”と言われました (笑)。そのまま売り場に直行して購入しました。それからずっと熱狂的なファンですね」
Klaus Mülbauer(以下: K )
「そんなエピソードがあったんですね。奥様にも気に入っていただけていたなんて、すごく光栄です」
──
NIGO®さんはミュールバウアーのどのような部分に魅力を感じたのでしょうか?
N
「ハットって型を崩さないようにアンコを入れたりとか、保管に気を使うんですよ。でもミュールバウアーの帽子は既に型崩れしているような独特のシルエットで、扱いもすごく楽なんです。他にも色、素材、トリミングなど全てにおいて、被り物としてはものすごく新しいものを感じましたね」
──
100年以上続く老舗ブランドとしての伝統や歴史を守りつつも、新しいモードの要素を取り入れた物作りというのは、クラウスさんのデザインの特徴でもありますね。
N
「個人的に、イギリスのテーラーでスーツを仕立てて、同じ生地を帽子屋に送ってキャスケットを作ってもらったりしています。老舗というものに弱いです。ミュールバウアーも1903年から続いているブランドで、まぎれも無い老舗ブランドなのですが、その中でも常に変化を求めて新しい物作りをしているのは面白いと思いますね」
K
「そうした物作りは常に意図しています。伝統的なクラフトマンシップとコンテンポラリーなアプローチをミックスさせることが、ミュールバウアーのコンセプトでもあるんです」

 

──
クラウスさんはNIGO®さんのクリエーションに関してどのような印象がありますか?
K
「個性的で、本当に素晴らしいと思います。NIGO®のアトリエなんて信じられないほどクリエーティブな建物で、NIGO®のセンスの良さがすごく良くわかる場所ですね。私はそれほどストリートカルチャーに精通しているわけではないのですが、NIGO®の名前はパリやニューヨークをはじめ世界中あちこちで耳にしますし、この前見せてもらったHUMAN MADE®のコレクションもすごく良かったです」
──
HUMAN MADE®はNIGO®さんがこれまでにコレクションしてきたヴィンテージウェアからインスパイアされたデザインで、過去と未来を融合させるという意味ではミュールバウアーのクリエーションと共鳴する部分があるのではないでしょうか?
N
「そうですね。今の時代、モノというのは出切ってしまっていると思うので、既にあるものをいかに新しく再構築していくか、というのが今のやり方だと思っています。HUMAN MADE®ではそれに加えて、僕らの世代の服好きに向けたアプローチで服作りをしていますが、靴と帽子に関しては作るのが本当に大変です。だから最近はHUMAN MADE®の服にミュールバウアーの帽子を合わせたコーディネートがすごく多いんですよ」
K
「コンセプトやスピリットの部分で共通するところはあると思います。ただあえて異なる点を挙げるなら、その製法ではないでしょうか。ミュールバウアーは100年前からハンドメイドを続けてきて、今もそれを守っています。私は工場生産のプロダクトに反感を持っているわけではないし、ベースボールキャップなどは工場生産の賜物だと思っているのですが、ミュールバウアーのハットに関しては機械では再現できない、人の手によってのみ作られる温かさや風合いが魅力だと思っています。とはいえ、NIGO®のヴィンテージコレクションのように、かつて大量生産で作られたものが時を経て、独特の風合いがでたり、レアになったりというのは面白いですね」