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THINK PIECE

Housse de Racket

エール、フェニックスに続く、フレンチ・インディーロック・シーンのブライテスト・ホープ。

11 9/2 UP

photo:Kentaro Matsumoto text:honeyee.com

ベンジャミン・ダイアモンドや、エール、フェニックスといったスター・バンドのサポートを務めた後に結成。Kitsunéがサインした初のフレンチ・バンドとして、同レーベルから待望の2ndアルバム「アレシア」をリリースし、話題沸騰中のHousse de Racket。レーベル・オーナーのジルダにして「これまでに見てきた中でも最高のライブをするバンド」と言わしめる彼らの音楽性に迫る。

ハウス・デ・ラケット / Housse de Racket

ピエール・ル・マンスとヴィクトール・ルルーによるフレンチ・シンセ・ロック・デュオ。バンド名の『Housse de Racket』とは直訳で「ラケットカバー」という意味になるが、ハウス(= House)+ミュージックを賑わせる(= Racket) という彼らの思惑から命名された。2008 年には、ポップ×エレクトロ×フレンチ・ポップの最上級ミクスチャーと言えるファースト・アルバム『Forty Love』をリリース。セカンド・アルバムとなる本作よりKitsunéと契約。

 

──
まずは、自己紹介からよろしくお願いします。
ピエール(以下: P )
「Housse de Racketでギターとヴォーカルを担当しているピエールです」
ヴィクトール(以下: V )
「ドラムとバック・ヴォーカル担当のビクターです」
──
これまでも何度か来日されているそうですね。
P
「今回で4度目になります。一度目はベンジャミン・ダイアモンドのバックバンドとして、二度目はHousse de RacketとしてA.P.Cのパーティーに出演しました。そして去年は、ファースト・アルバムのツアーで来日しています」
──
結成から今まで、どういった経緯があったのでしょうか?
P
「18歳ぐらいの頃はファンクやディスコのバンドで活動していたのですが、人数の多いビッグ・バンドだったので、大人数をマネジメントするのに徐々に疲れてきてしまったんです。そこで僕ら二人だけで結成したのがHousse de Racketです。初めてレコードをリリースする以前は、それぞれサポート・ミュージシャンとしてベンジャミン・ダイアモンドやエール、フェニックス、ティーネージャーズといったバンドにも参加していました。個人的にも彼らの大ファンでしたし、才能豊かなアーティストと共演できた経験は、確実に今の僕たちの音楽に影響を与えていると思います」
──
今回のセカンド・アルバム「アレシア」はKitsunéからリリースされていますが、彼らとはどのような出会いがあったのですか?
P
「今回僕らのアルバムはカシアスのフィリップ・ズダールがプロデュースしてくれているのですが、フィリップとKitsunéのジルダが昔からの知り合いで、フィリップを介して”Chateau”という曲をジルダに送ったんです。それをジルダが気に入ってくれて、Kitsuné Maisonのコンピレーションに収録されたり、Kitsunéのパーティーに出演したりして、アルバムのサインにまで至りました」
V
「Kitsunéのようにグローバルなヴィジョンを持ったレーベルはフランスには少ないですし、音楽的にもIs TropicalやLOGOといった共感できるバンドも多いので、彼らのファミリーの一員になれたことをとても嬉しく思っています」

 

──
フィリップ・ズダールといえば、フェニックスやザ・ラプチャー、ビースティ・ボーイズなども手がけるフランスのスーパースター・プロデューサーですね。
P
「元々フィリップとは共通の友人がいて、カシウスが前回のアルバムをリリースした後、2006年か2007年ぐらいに直接、僕らのデモを渡しに行ったんです。それから一緒に制作するようになったのですが、彼は僕らにとって理想のサウンドを作ってくれる、まさに最高のプロデューサーですね」
──
フィリップが制作に加わったことで、今作は前作よりも更に洗練された、スタイリッシュなサウンドに仕上がったと感じました。
V
「よりプロフェッショナルな音に近づいたと思います。僕たち自身、ファースト・アルバムをリリースした後、ツアーで様々な都市でのライブを重ねてきたので、その経験も音に表れていると思いますね」
P
「ファースト・アルバムはデビュー作ならではの勢いがあったと思いますが、今回は音楽的にも成熟した、Housse de Racketのネクストレベルを詰め込んだ作品に仕上がっていると思います」
──
Housse de Racketの音楽はバックグラウンドに、最近のインディー・バンドには少ない、アカデミックな音楽的素養を感じます。
P
「僕らは同じ音楽学校に通っていて、それぞれクラシックやジャズを学んできたので、メロディやコードのハーモニーにはその影響があると思います。バーでお酒を飲んでいる時にも、かかっている音楽のコードが気になってしまうくらいです(笑)」
V
「ただ、音楽的になり過ぎることで失われてしまうフィーリングもあるので、最近は初心に戻って、逆にそれらをシンプルにまとめあげた曲作りができるように努力していますね」