12 3/09 UPDATE
ここのところCDリリースの情報が少なく「なりを潜めた」感のあった、瀧見憲司率いるクルーエル・レコード。しかし実際は、ヴァイナルを中心としたアンダーグラウンドな活動を活発に行い、近年、カッティングエッジなシーンでは、これまで以上に世界的な評価を高めているのだ。そんなクルーエルが満を持しての新作レーベルコンピ『Crue-L Café』をCDリリースする。
世界的な評価を得るバレアリックユニット=Discossessionはベース、ギター、シンセサイザーがオーガニックなウネリを描くディープな叙情的アンビエントを聴かせ、続く日本発Chill Waveの筆頭株The Beautyは端正なサウンドテクスチャを織り上げ、呼応する。Crystalはメランコリックでシューゲイズな美メロピアノハウスを披露し、Tim DeluxeがA.Noisy.Noiseと共作したトラックはミニマルでファンキーな2012年らしいアシッド感を表現。2012年らしいといえば、ベルリン発テクノ・ディスコ・ユニット=House Mannequinの覚醒したグルーヴこそ、まさに「今」。そしてTuckerの「生な」グルーヴ、さらに、Eddie Cのクールなファンクネスが頭でっかちなダンスミュージックオタク(キミのことだよ!)の下半身を揺さぶる......。
本作収録曲はどれも、ハウス、テクノ、チルアウト、Nu-Discoといった安易なカテゴライズでは語ることをためらわれるユニークかつ野心的なサウンドばかりなのだが、なかでも特筆すべきは、瀧見憲司と神田朋樹による「純正クルーエル」な新ユニット=Being Borings。アブストラクトでトリッピーな「ディスコ」はシーン最前線のコンテクストを十分に含みながら、同時に圧倒的なオリジナリティを保持する。また、神田は自身のソロ名義曲でアンニュイでメロディアスな「Nu-Folk」を、そして、Fran−keyとの共作曲ではメロウなバレアリックアンビエントを披露と、本作では大活躍。ラストを飾るCrue-L Grand Orchestraによる映画『Barbarella』のテーマソングのハウスカヴァーまで、傑出したトラックのみをコンパイルした正真正銘の傑作コンピレーション。ミュージックシーンのネクストは、ここにある。
text: Tetsuya Suzuki
Crue-L Café
Compiled by Kenji Takimi
11tracks CD Album / KYTHMAK140DA
3月19日発売
¥2520(tax in) / ¥2400(tax off)
iTuneでの配信は3月末予定