honeyee.com｜Web Magazine「ハニカム」

ラッパーILL-BOSSTINO、トラックメーカーO.N.O、ライヴDJ DYEの3人からなるユニット、THA BLUE HERB。97年の結成以来、前衛的な楽曲を次々と発表し、瞬く間にアンダーグラウンドなヒップホップシーンから多大なプロップスを得た。現在、その名はシーンを越えて広く知れ渡るものの、活動、生活の拠点はあくまで地元・札幌にこだわり続け、北の大地から全国へ向けて常にメッセージを発信し続けている。

THA BLUE HERBが他のヒップホップユニットと大きく異なるのは、O.N.Oが作り出すアブストラクトで呪術的なトラックはもとより、ILL-BOSSTINOが紡ぐ独特のフロウ、そしてその詞だ。社会的、哲学的でメッセージ性の強いリリックを吐き出すように、時に説き伏せるように歌い上げるライヴはまさに圧巻。Fuji Rock 2000に出演した際のパフォーマンスは、10年以上経過した今なお語り継がれる伝説となっている。

ステレオタイプ化したヒップホップのマナーを打ち破るようなサウンドに、ILL-BOSSTINOの圧倒的な存在感と説得力。シーンのカリスマとして確固たる地位を確立してもなお、常にヒップホップに、そして自分たちに何ができるのかを問い続けてきた彼らは、そのストイックさゆえに、これまでにも長期の活動休止と再開を経てきており、2011年にも無期限のライヴ活動休止を発表していた。

そして2012年、列島激動、混乱の1年を経て、ついにその沈黙を破ることとなる。「STILL RAINING, STILL WINNING / HEADS UP」と題したニューEP。1stアルバム「STILLING, STILL DREAMING」を連想させるタイトルの新曲で、彼らは何を語るのか。2012年3月14日(水)、THA BLUE HERBの第4章が幕を開ける。

text: yk